詩人:甘味亭 真朱麻呂
もう聞けないね
あなたのあの声で僕をよぶ声
もう聞けないよ
あなたはこの世に居ない人だから
あなたとの思い出話を語ったなら誰にも負けないくらいあるよ
僕にくれたさり気ないやさしさや微笑みはなによりの宝物です
今でも胸の中で輝いてる いくつものあなたが残してくれた思い出
キラキラ 僕の中で繰り返し回ってる
地球のように
逆上がりする子供のように
前まわりをする子供のように
くるくる 同じ場面が心の中のスクリーンで上映させる
晩ご飯だよ… 早くおりておいで
そんな些細な言葉でさえも聞けないことつらいけど
晩ご飯だよ… 今はあの子が言うよ
エプロン姿が瞬間お母さんに見えたけどやっぱり
あなた あなたで
それでも
僕が一番 好きなのは
僕をこの世に生み出して人生をはじめさせてくれたあなた あなたで
僕のあなたで
お母さんにいう愛してるとはまた違う愛を
注いでいる今では今なりの幸せがあるけど
あの頃はやっぱり思い出しただけで涙がでるほど懐かしい
一番の理解者よ
雪解けの街
手のひらのうえ消えた粉雪のように
あなた あなた消えたね
もう聞けない
あの声 あの言葉
懐かしすぎて思い出せば言葉に詰まるほど
悲しいやら 懐かしいやら
気づいた心はまたもセピア色
にじんだ景色は夕暮れ
雲は長くのびて
やがて星に変わる
あなたという星もあの星の中にあるかな
大事なのは思い出を汚さぬように日々
あたためながら消すことなく守ること
ただしばられることはないさ
自由に今を 今の自分をたてて生きること
そしていつか思い出と眠ろう
その時に思い出せばいいさ
先に旅立った君もきっと望んでるだろう
だから思い出は空に流すことにしよう
今は 一時的に胸に引っ込めて。