詩人:望月 ゆき
メリーゴーランドに
ふたりで乗ったあのとき
ふさがった右手のことばかり
気にしていたあなたは
左手でにぎる
わたしの右手をふいに忘れた
遠心力のそとがわ
こぼれて飛び散った
恋のカケラ、は
今もなお
観覧車のてっぺんで
あなたを探している
わたしのかわりに
ふたりで
疾走したり
ジャンプしたり
笑ったり、泣いたり、
そのたびにカケラは飛び散って
そこここに点在しては
わたしを困らせた
こぼれたそれを
ていねいにかきあつめる
こと
は
きらいではない
そうしているうちに
あなたを探していること
をふいに忘れる
あつめたカケラには
ときどき
ほかの恋がまぎれこんでいて
それ以上に
わたしを困らせたりする