詩人:アジス
あの頃の想い出
それは今も残っている
過去と今とを繋ぐ
僕の記憶
だけど
本当に正しいのだろうか
君は最後に願った
忘れてくれ…と
絶望と悲痛の最中
僕には決める権利がなかった
忘れられるわけがなかった
僕が唯一愛した君を
忘れられるわけがなかった
だが
本当にこれでいいのだろうか…
君の最後の願い
それを叶えてあげることが
僕が君にできる
最後の恩返しなんじゃ…
静寂が僕を包む
奏でる音色は
時計の音だけ…
忘れよう
それが君の願いならば
僕が叶えてあげる
ただそれだけだ
だから
最後にわがまま
僕はもう
誰も好きにならない
僕が愛するのは
君だけだから…
僕が愛したのは
君だけだったから…
部屋の片隅に置かれた
小さなオルゴール
ゼンマイを巻いても
音色が響きわたることはなかった…