詩人:中村真生子
蕗の薹の天ぷらと蕗の薹味噌をいただく。ほどよい苦味が体の中に広がっていく。意識的かつ最後に受け入れたこの味に体は今でもなじみが薄く早く追い出そうと働きかける。そんな気持ちを察した苦味はならば誰かを道連れにと老廃物の手をつかむ。つかまれて老廃物は苦味と一緒に体の外へ。「春の食卓には苦みを添えよ」。ただしほどよい苦味を。青春の日々のほろ苦い思い出のような…。