詩人:梅宮 蛍
じょんがらの音が夜の雪片に跳ねてこの耳に届くときその手はもう次の音を弾いてゐる寒空の月何を観る その眼で誰を弾く その指で知らない香りが鼻腔に迷い込んで出て往く宛もなくずっと私の中に残るのだ残ってゐるのだ憎い人だけど 愛しい音だから知らないふりをしてあげる嗚呼なんて なんて莫迦な夫(ひと)だろうでも ほらじょんがらの 音が 綺麗だから