|
詩人:高級スプーン似
夜になっても起きている
朝になったら起きている
それが出会いに繋がって
ノックの音も聞こえない
密室に見せかけた
この部屋で
鍵もかけずに微笑った
「すべて作り物なの」
壁に張りついた目は誰だ
形跡も足跡も知らない人
数えきれない程の住人だ
ひぃふぅみぃ・・・
「意味がない」
分からないままに君は
呆然とする僕を尻目に
いきなり服を脱ぎ始めた
「裸になって踊ろうよ」
生き血を吸われた顔で
こっちを向いて微笑った
逃げ腰な優しさ
その白い手を掴んだら
壊れそう
それらは僕のイメージで
あくまで僕のイメージで
真実の君は別にいて
他の誰かと踊ってる
「仲良くしよう」
「仲良く演じよう」
「本音を飾ろう」
「一緒に歌おう」
「自分でも嘘かどうか」
「もうどうでもいい」
「それはたぶん本当」
虚実入り交じる
この部屋で
目の数もまばらな
この時間に
ほんの少しだけ踊ろうか
ぎこちない言葉と言葉
会話にならないような唄
詩を綴るってどんなんだ
「感情さえも作り物?」
「馴れ合いも共感も」
「安心も努力も信頼も」
「喜怒哀楽の人格も」
「吐いて捨てて忘れろ」
「意味はない意味はない」
「蝿より糞より汚い詩」
「それが貴方で私」
裸のままで探す
我を壊して探す
理性じゃないよ
異性じゃないよ
私はいないよ
それなら
僕も要らないよ
そうやって
簡単に捨てるから
「ゴミになる」
「ゴミを愛でる」
「裸になって踊る」
百目の部屋に身を隠す
支離滅裂な行動に
一行
もう一行と
拍車をかける物思い
腕によりをかける物語
「間違えて消しちゃって」
箸にも棒にもかからない
「それが貴方で私」
「意味がない」
「分かってる」
「いいから早く」
「裸になって踊ろうよ」
朝になったら起きている
夜になっても起きている
それが別れに繋がれて
傷になって離さない
いつまでも
この部屋と胸に残る