詩人:山鳩
深い暗闇の海底に
ゆっくりと沈んでゆくように
遠い記憶の扉を開いてゆく
うつむく君は
左手の薬指にさしたリングを指さし
すこし目障りなのと言いたげに
顔を曇らせた
夜更けの街並み
街灯の光は湿って白く濁っている
途切れてしまった会話を
どうにか繕いつつ・・
僕は夢を見た
無声映画の一場面のように
切なさと懐かしさが入り混じり
あと少しだけ
消えずにここに居て
目覚めた後に残る君の余韻
忘れてしまっていたはずが
まだこころの何処かに潜む
愛の残り火
ため息とともに
ねじれた夜がまた明けてゆく
2007/09/17 (Mon)