詩人:さみだれ
化け物たちは縄張りを作った
それぞれがそれぞれの形で寛いでいる
俺は部屋の蛍光灯をLEDにした
シンデレラのために
しかし化け物は光が気に入ったらしく
ぶざまな取り合いを始めた
その挙げ句粉々に砕けてしまう
俺は怒らない
誰も悪いとは思わない
だからまたこつこつと貯金をした
何ヵ月、何年、何十年、と
そのうち化け物たちは一人、また一人と死んでいく
気づいたときには一人暮らしの初日だった
俺は泣かない
寂しいとは思わない
部屋のゴミ箱にはシンデレラの手紙が何通か捨てられていて
俺は燃えるごみの日に窓から放った
ちょうど収集車が通る時間に
いつか
という夢を見なくなった頃
俺は死ぬ
何の実感もなく
ただいつものように眠っただけだった