詩人:甘味亭 真朱麻呂
手をこすり合わせ
寄り添う僕ら
まぶたもかすかに
ふるえてるよ
ひとつの毛布でふたりあたたまった
君の分の面積多くしてあげたい
冬が過ぎてく その前に君に伝えたい思いがひとつ
降りしきる白い雪の天使
ふと見上げれば窓の外には新しい季節のはじまりの気配
この窓からあの熱かった夏の日も淋しげな秋の日も雪が降るのを待ってたんだ
この気持ち 張り詰めた気持ち
冬になれば少しは臆病な心も麻痺するかな
僕はどこまでも臆病者
季節の窓辺から眺める景色はずっとモノクローム
白と黒の淋しげな鉛筆描(が)きのデッサン
君に伝えられるまで
冬の力も無意味だった
それほど君に思い伝えるのは簡単じゃなかった
そして思い知らされた 引きずりすぎた日々に愛想つかされた
心の時計はずっとあのさよならの時刻で固まったまま凍る
淋しさもせつなさも凍る
涙も凍るよ
終わりをおしえる冬がいままた過ぎようと背中を見せた僕に向かってかるく頭をさげて天使は空に消えてった
消えてった
季節の窓辺に届いた手紙さよならの文面に僕は涙おさえられず手紙を涙で濡らした
あふれる悲しみと多大な絶望
残された手紙
たき火にして
あたたまろうか。