詩人:甘味亭 真朱麻呂
僕らの恋はまるで
鉛筆でいえばHBってところだね
それはちょうどいいね
濃さの具合もね
Bじゃ濃すぎるし
Hじゃ薄すぎる
だからこれからも
HBさ
変わらずHB
描いていく
未来を
描くのも さあ
変わらずHB
真っ白なはじめてのおつきあいした日からだいぶ心のノートも埋まったよ
今じゃ余白をみつけるの難しいほどさ
毎日 交わす言葉も似通ってきて愛の言葉もなくなりかけてる
鉛筆はすり減っていくだろう でも恋はすり減っていかない
命はやがて終わりをむかえても散り時をむかえても
ずっと 愛は変わらず続いていって永遠に生きる僕らじゃなくても僕らは限りある中で僕らなりの愛しかたをみつけてくつもりさ
心に広げたノート
いつか余白がすべて無くなっても変わらない気持ちを胸に新しいノートにはしないで
試行錯誤しながら
同じノートに描くよ
ふたりの記憶
だけどどうしても仕方ないときはいつか君にあずけてたあの愛のノートに記せばいい
僕らの恋はHB
HとBでできてる
薄くもなく
かといって濃くもなく
つまらないほどにちょうどいい
中間点のような
中間色のような
真ん中あたりをつねにキープした恋さ
それでうまくいってるの
そんな毎日をいつか見納めにするとき
楽しかったねだけですまさないように涙のひとつもおぼえておこう
偽りじゃない涙
流し方なんて無いけど
ただ心を優しくさせるだけでいいと思う
ふたり羨まれるほど いつも愛をまき散らして
嫌みでもなく隠すんでもなくちょうどいい間隔や距離で見守るように愛を配置する
笑ったり 泣いたり
当たり前なことが一番すばらしいと売り物にもならない当たり前な言葉集めてふたりの歌にした
それは掛け替えない宝物で
価値などつけられなくても変わらず宝物で。