詩人:さみだれ
コーヒーの隣に妖精が座る
器用にスプーンで混ぜている
灯りを離した
暑そうだったから
そして最後に魔法の粉を入れる
それが楽しみなんだ
仕事から帰ると
妖精は決まって寝ている
すっかり冷えた夕食にラップをして
ひっくり返した茶碗の上で気持ちよさそう
夢を邪魔しないように
そっとベッドに連れていった
そして食べる夕食が温かく思えて
今度は一緒に食べようって思った
寝る前におやすみ
布団をかけ直してやる
たぶん妖精は誰よりも早起きで
どこよりもうまいコーヒーを淹れてくれる
そしてそれが当たり前じゃないことに気づいたとき
なんだか嬉しくて顔を合わせられないんだ