詩人:まとりょ〜鹿
抓って掬って撫で
とても退屈ねって
向かい合わせの席
君は不敵に笑った
崩れたら負けだと
至極簡素な戯れに
視線を射抜かれた
繊細な心隠して…
下から上へ
下から掬って
上へ添えた指先
沈黙が酷く興奮させ、そしてまた
震えた指先を眺める事を愛おしいとすら感じた
対面の君の表情を追い、そして君に
表情を探られるような視線に震えた
まるで数年単位で時を刻んだ感覚に襲われ
気が付けば
2人構築したままの姿を
ただただ見上げ、積み上げ続けた。
予測もなく、ひたすら指先で責め合い…
気が付けばとっくに頭以上の高さになった。
見上げる事に疲れた2人は
虚勢も駆け引きすらも無く
震え、緊張、指先から意識を解いていた。
『もう終いよ』
疲れ果てた君は言葉の合図と共に
下の2本の一つに手を掛けた
激しい衝撃と共に
乾いた音で崩れた
勝ち負けなんてもう
もうとっくについてたよ。
僕たちは最初から、詰(積)んでいたんだ。