詩人:どるとる
何もない夜
星もあまり見えない夜
TVもめったに観ない
本を開いても 途中で飽きてしまう
だけど どこか今夜はいい夜だな
なにがとはいえないけど なんて素敵な夜
宛もない旅
衛星は迷子になってる
突き出したさよならの手紙も届かないまま
ふとした拍子に何もない夜から始まるどこか不思議な時間
あふれ出す夢の中からこんにちを
なんだか悲しいことも笑い話になってしまうくらい 優しい夜
だけど何もない夜
何もないのが幸せなそんな夜 なんて素敵な夜
流れた星の数は わからないけど 願いの数だけ 星が流れたらいいよね そんなふうに笑う夜 なんて素敵な夜
衛星は何周かしてやっともとの場所に戻ってきたよ
安心したように
月も輝き始める
邪魔な雲は立ち去り
月は街を照らす
不思議なことなど何もないけど それがまた素晴らしい世界
シンデレラのガラスの靴は 粉々に割れてしまうのがオチなはずの現実の世界も
夢の中なら 王子様に拾ってもらえる
そして訪れる素敵なハッピーエンド
そんな都合のよろしい現実など ないのが僕らの世界だけど
今日はそんなことさえどうでもよくなるくらい素敵な素敵な夜
なんて素敵な夜
なんて素敵な夜
なんて素敵な夜
何もないけど
何もないのが
幸せなそんな夜
なんて素敵な夜。