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[168954] 街灯

詩人:どるとる


切なさをぶら下げて
帰り道を歩けば 空には金色に輝く月がひとつ

水面に浮かんだ月は少しの風でゆらゆら揺れて 石なんて投げ込めば 一瞬月の形が崩れるよ

夜気が体中を包む
等間隔に点在する
街灯の下を通るたび
暗闇から突然浮かび上がる僕の間抜け面

車に追い越されただけでなんだかさ
切ないやら
むなしいやらで
もどかしいんだよ

涙という雨が降る夜
味方は誰も居ない
独り言が目立つ夜
聞いてくれる人は居ない
ただ さびしくて
どこか いたたまれなくて それでも 街灯はびくともせずにどんと道に立ちつくす
立ちつくす

あたたかくもない水銀灯の光の下には 小さな自動販売機
生ぬるいお茶を飲んで 見上げれば小雨降る夜
傘を忘れた事さえどうでもよくなるほど涙に濡れた夜
濡れたくなかったのは体じゃなくて服でもなくて心だったんだよ
心だったんだよ

ただ通り過ぎてく
街灯の横
ただ通り過ぎてく
時間の片隅
置き去りにされた
僕の涙 忘れられたようにたたずむ誰かの影
かすかに揺れている

眠れるはずもない夜
涙という雨に降られて 行き止まりの夜
行き止まりの夜

ぽつんとたたずむ
街灯のように
強くはなれない夜
ひしゃげた心
誰かのせいにして
愚痴に明け暮れて
夜明けにたどり着けずに夜を背負ったまま 迎えた朝なのさ
迎えた朝なのさ

街灯が消えないよ
無意味なくらい
心の闇を照らす
昨日の僕の涙
昨日の僕の涙

それは光のように笑えぬ僕を慰める。

2011/06/16 (Thu)
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