詩人:蒼月瑛
血祭りのように、飛び散ったペンキを
拭き取ってみるの。
あなたは生き残れるの。
ふと耳をかすめた。囁き声。
そこには、何もないように見えた。
背中をえぐる冷酷な息。
ただこの感情を覚えていた。
暗黒の闇から広がる、朽ちた金管楽器の不旋律な重低音。
闇の中から出てくる影。
そこにいるのは誰?誰なんだい?
影は消えた。
まんまるい大きな月は闇の中で1つ輝く。
月は、闇を飲み込んでやくれないの。
それだから、光ってるの?
孤独であるのを知って欲しいの?
あんなに大きな月でさえ、この胸の奥の闇さえも照らすことはできないの。
誰か私の心を、照らしてよ。
だから、私はこの胸を開いてるのよ。何もかも。
傷つくより愛されたいよ。
何も届かない、この胸が、涙と変わる時さえも
愛しくなんて思えないよ。
ただただ憎んでしまうんだ。
人との楽しい時さえも
何でもいいと思えるよ。
後から気づいてしまうけど、それまでは夢を見てみていたい。
闇のあの影が。月から手を差し延べてくれたんだ。
私は迷わず手を握ったんだ。
影は光を飲み込んで、真っ黒に染めてしまうけど、
月夜に照らされ飛び散った。
私の体は少しずつ冷たくはなってはしまうけど。
悲しくなんてないんだよ
そんなこと言うと
最期くらい人として生きてみたいんだ
闇夜の月に照らされたのは真っ黒に染まった私だった