詩人:藤井柚子
教室でうずくまり、光に焼かれた青みたいに小さくなって眠った子がいた。私は違う、学校が終わったら友達に黙って先生のところに行った。彼女の夢のなかで泣いていた女のひとはどうして泣いていたんだろう、考えていると先生は扉を閉めて私を寝かせた、寝れば寝るほどに足元から痺れが上のほうへ上のほうへとのぼってきて、もう私の全身は痺れに支配されていた。先生が誰だかわからなくなって、何かわからないものになっているって気付いたけど、もう遅かった。
「おちてきた ほし/まがりくねった つき
わたしたちはきおくからはなれ ゆめのよくしつにはいる ( あかくかためられたねんど たかいうたごえ くうきはもうそんなにすんでいない 」
さよならはいわせない
先生の右手にわたし 手を伸ばしたら 先生は遠くへと離れていく、わたしは星になりたい。光に焼かれたりはしない、崩れたりはしない、誰よりも星らしくなりたい。知らない人たちに寝顔は見せない、教室でうずくまったりはしない。青よりも青い星になると決めたから、泣かないで。曲がった月は教室で輝いて、彼女の夢から漏れる声が世界にひろがっていく、猫はかたちを変えて、先生は優しく笑うけど、動かない。何ひとつとしてわたし以外は息をするばかり
( みんなだ/あのこも てんしのそばにいく あおいほしのおくをさがして こえをそろえてうたうことを/わたしはきょひする くるしいから なぜだろう おしえてください
教えてよ、先生」
ねむったこがおきるのはよる まどのそとへと とりがはばたいてはきえる
あれが このこ
しびれてうごけないなんて / うそばかり )
教室のすみっこ
月が落ちて行くときに
わたしではない星が
流れていったとしても
嘘はついてはいけない
って あなたも
教えてもらったでしょう
起き上がった彼女に
わたしはふたたび生命と形を縫い付けてあげる
わたしも先生に
そうしてもらうように
してあげるから
ね