詩人:クトゥグア
あんなに高かった月が
朝方にはもはや消えている
月を隠していたはずの雲が
一杯の酒の間に遠くに流れている
どんなに高く飛んだところで
月の欠片もついばめない鳥たち
檻の中で牙を磨く虎
反射する月は寂しく眩しく
灰色の棺桶の隙間を歩く
夜光虫は今日も月を見上げている
三日月に腰掛けたお姫様
そこじゃ王子様の手は届かない
なんて寒い夜だろう
月まで透き通るほどの空気だ
太陽はお前を気にしちゃいない
月がどれだけ愛そうとも
満月の下に人は皆等しく
密告され囚われ処刑され
俺が月を覗き込む時
月もまた俺を覗いているだろう