詩人:善田 真琴
青成りのままにもぎ取り、冷蔵したる果実は渋く美味からず。
成人とて子供は人ならざるが如き物言いは僻事なり。世の中見渡せば、政官財民いづれも大人とは名ばかりにて、人倫を知らず容易く矩越ゆる輩数多なり。
親が子を苛め、或いは殺め、子が親兄弟に意趣を返す。国と国とのいくさもまた然り。
その大本は自立自足知らざるが故なり。自立とは自律なり。他を鑑み己を顧みて足らざれば欲しがり、奪い取らんとするは我欲なれば、自らを律すべき術知らざるは自ら立つと言うに適はざるなり。生きとし生けるもの総ては他の犠牲の上に命永らへるは自明なれども、足るを知らざれば、全て滅するもまた理なり。
自立自足の眼目約めれば、忍の一字なり。刃は他に向けず、己の心に向けるなり。其は我慢の意ならず、自ら律する道なりとぞ。
古人は腹八分目と俗言したり。今尚、学ぶべき処あり。
空を斬る
刀の如き
三日月の
欠けるを知りて
冴える煌めき