詩人:ひつじの・X
「ここはどこ?」
「地獄さ」
「でもわたしまだ生きてるわ」
「生きたまま地獄に連れてこられる場合もある」
「でもわたしどこにも連れて行かれたりしてないわ」
「心の問題さ」
「こころ?」
「そう、心。気持ちの持ち用でここは天国にも地獄にもなる」
「本当に?」
「本当さ」
「じゃあ、あなたはどこに居るの?」
「アウシュビッツさ」
「アウシュビッツ?」
「そう、まあ象徴にすぎないけどね」
「象徴?」
「別にアウシュビッツじゃなくてもいいってこと。サラエボでもベトナムでもイラクでもチェルノブイリでも……、まあ、どこだっていいのさ」
「ねぇ」
「なんだい?」
「ここは日本よ」
「そのくらい知ってるよ」