詩人:くじら
小さな希望を手のひらに乗せて
その背景の不条理と
ピントを合わせる
緑道を横切る子供たちの声
その先に投げ出された「さじ」
いつからだろう?
諦める事に抵抗しなくなったのは
信じるものがまたひとつ
藪の中へ消えてゆきました
それでもいつものように
太陽を背にして
薄く伸びた影の先を
追いかけながら
「感情」というカタマリを
なるべく音を立てずに
転がしています
波風を立てないように
想いを悟られないように
それが最善の選択かどうかも
わからないまま
あの頃の怒りや憎しみは
軌道をそれて消えていったけれど
あなたの事を僕はもう
許しているのでしょうか
湿った雲が頭上を流れてゆきました
あなたの空は何色ですか?
冷たいコンクリートで造られた
灰色の街並みを見下ろして
優しく灯る幸せの光を数える
あなたの声がまだ聞こえていた頃
僕はあなたらしく
あなたは僕らしく
互いの成長を信じてきたけれど
守るべき嘘を諦めた時から
僕らの行く末を
見据えていたのかもしれません
今は痛みを覚えることばかり
得意になってしまったけれど
時間通りにやってくる
「不安」を必死に飛び越えて
安心にしがみつく事が
精一杯の日々で
かろうじて転ばず過ごしています
目に見えない真実まで
知る強さは必要でしょうか?
愛に成り損ねた「未練」が
あなたの名前を呟く
僕はこの先いったい
どれほどの愛を
与えられるのでしょうか
許せるのでしょうか
このまま
ここに留まってはいけないと
心の声が聞こえる
安らぐ場所へ 声が導く方へ
進まなければ
走り続けなければ
春は
まだまだ遠いけれど