詩人：みどり

退屈だからテレビを見る
チャンネルならお好きにどうぞ
熱帯魚が泳ぎにくそうに近寄って来た
四畳半の僕の部屋では
緑色の風が遊んでる
暇だから僕も泳ぐ
深い　深い　青と
心地よい　心地よい　緑
僕の身体を包み込む
一本　一本　の　指　も
一本　一本　の　髪　も
丁寧　丁寧　に包み込む
絶対の安心感が染み込んでくる
心が身体が軽くなった
窓を開けたら四畳半の部屋から青と緑と熱帯魚とテレビと僕が流された
皆どこかに行くみたい
まだ泳ぎが下手な僕はおいてかれるんだ
　
海に包まれ沈んだ身体に風が集まって
綺麗な空に囲まれながら落ちていった
　
あそこはどこなのだろう？海と空が愛し合う場所
熱帯魚達はもう行ってしまったらしい
ああ　人が見えてきた
このまま落ちたらきっと東京タワーに突き刺さる
それもいいか
たまには突き刺さってみるのも悪くない
ああ　先客がいるな
僕より先に東京タワーに突き刺さってる奴がいる
僕は毒を含んだ空気を踏んで勢いよく飛んだ
毒が身体に染み込む
意識が遠退く
　
気付くと四畳半の僕の部屋にいた
さっきまでどこかにいた気がする
あたりを見回してみる
何も変わってな…
あれっ？
テレビが無くなってた