詩人:善田 真琴
「怪之句 影女」より
影のみが
ひとがた模して
現れん
袖触れ合うも
魔性の餌食
追えば逃げ
逃げれば祟る
影踏みの
戻る術なき
六道の辻
衣衣の
一夜の契り
目醒めれば
温もり冷めし
夢の枕に
餓鬼畜生
阿修羅ともなれ
みゃあと鳴く
舌舐めずりの
黒猫一匹
原句/妙鈴堂殿
編歌/不肖善田
【脚注】
「六道の辻」
①六道へゆくという辻。
②昔、京都鳥辺山の
火葬場へゆく辻の名。
「衣衣」(きぬぎぬ)
衣を重ねて共寝した男女が
翌朝めいめいの着物を着て
別れること。また、その朝
(以上、広辞苑より)
2012/03/30 (Fri)