詩人:フィリップ
二半の単車で
遠出をした
高砂の街並みにすさぶ風は
少し強めながら
僕には妙に心地よかった
つい最近まで元気だった知人が亡くなったのは
つい最近のことだ
手のひらほどになった知人を見て
僕はただ手を合わせるだけだった
生きているだけの僕たちは
死んだ人に何を伝えられるだろう
風の感触
喜びと悲しみに満ちた感情
その中で
両者に共通するのは心身に伝う痛みだけだ
傾き始めた空はまだ風に揺られたまま
僕の髪を撫でる
絵になるような枠の中で
僕は生きていることの実感だけ
風と一緒に握りしめた
2008/05/03 (Sat)