詩人:どるとる
三丁目の猫はその昔
おばあちゃんのひざの上で毎日 お昼寝してた
大きな庭のある陽のあたりのいい縁側で
毎日毎日 通り過ぎる人々を眺めてた
でもその内おばあちゃんも死んじゃって
三丁目の猫もどこかにもらわれていった
だけど三丁目の猫はおばあちゃんとの思い出を あのひざのぬくもりを 忘れないだろう いつまでも
だって おばあちゃんが死んだ葬式の日
三丁目の猫は 誰もいなくなったおばあちゃんの遺影の前できらりと光る涙を 目尻にためていたから
一声にゃんと鳴いて
三丁目の猫は ずっと縁側で居るはずもないおばあちゃんを待っていた
三丁目の猫と口数の少ない 優しいおばあちゃん
その日の夕陽はひときわ輝いた ひときわ切ない色してた
まるで 猫の涙でにじんだような 淡いオレンジ色だった
三丁目の猫は今もどこかで鳴いてるかな
夕暮れになるたび
あの猫の涙が僕まで泣かせるよ。