詩人:どるとる
雨上がり
かたつむり
あじさい咲く
夏の道を
ひとり歩けば
見慣れた街並みもどこかいつもより美しく見えるから不思議だ
風鈴の音色がチリンと鳴りゃ
6月 7月 8月と月を重ねるごとに暑さ増して やがて 残暑残る9月も後半にさしかかれば いつの間にか 暑さも引いてゆくだろう なぜか毎年暑さが引くたびに
切なさが残るのさ
祭りのお囃子がいつまでも 耳に残って消えないよ
水風船 金魚すくい
たこ焼き 焼き鳥
輪投げに 杏子飴
みんなで花火大会
河川敷に集まって
人ごみの中から
見上げれば いろんな色をした花火が
夜空に打ち上げられる
夏物語
鼻緒が切れるように
暑いぶんだけ記憶に残るはずなのになんだかそのぶん慌ただしくて幻のような 季節
汗が引いてゆく
汗が乾いてゆく
寝苦しい夜がつづく
それもつかの間の出来事
線香花火のように
ポタリと時が過ぎれば はかなく散りゆく露に濡れた花びら
水の張られたバケツの中に落ちて
かすかな火薬の匂いだけを残して 遠ざかる
夏物語
手を振るまもなく
静かに 過ぎ去る季節
焼けた肌も もとの白さを 取り戻せば
汗だくの毎日も恋しく思えるような 不思議な幻だけを残して消え去る
夏物語。