詩人:甘味亭 真朱麻呂
覚めない夢の中で遠い昔話を語る
思い返せばステキによみがえる
心に描ける思い出があるそれはなんともステキな事だよ
幼い昔クリスマスの日にもらったプレゼントをあけるような気分 中身を知らないからこそ味わえるこのドキドキ感
だけど思い出はもうわかっている記憶なのに何故かドキドキするのさ まるで内容を忘れてしまったのかはじめて感じるみたいな気持ちでいつも心をにぎわす
不思議なものさ
だからあの日にかえりたくって
月の浮かぶ空に何度願ったことでしょうか
無駄だとわかっていても願わずにはいられないこの気持ち
それだけ思い出は綺麗で楽しいものさ
過ぎてく時間があるから手にするものもあるけどそれだけなくすものもあるから気づけば
ひと昔は当たり前だった人すら今はもういない
まるで夢をみてる気分だけれど
これは現実
ほおをつねってもその痛みが夢じゃないこと当然のようにボクに伝えるから
ずっとあの日のままで時間が止まっていればいいのにと次から次へと変わりゆく時代の流れに逆らえない自分がとても悲しくて過ぎてゆく時をしょっちゅううらんだり
毎日そんなコトばかりで日々を燃やした
その燃え残りが今ボクの中でかすかに赤く火花をあげてる思い出です
言えなかった事 伝えたかった事 まだたくさんあったのに
そのすべてが今じゃもう遅すぎて
色褪せてく街薄れてゆく記憶遠ざかる懐かしいよろこびの声
夕暮れの色さえなんだかこの大人びた瞳は悲しく映すんだ
真っ暗闇の道にポツリともった街灯のあかりがはかなく揺れればまたあのころに戻りたくなる
あのころに戻ればお母さんやお父さんとまた楽しく暮らせる気がして
なぜ残された人は大切な人の終わりを目にしてまで悲しみ抱えて乗り越えていかなくちゃだめのかな
「それでも今日もお家に帰ろう…」 そういうボクの声が唯一淋しさからの逃げ道で。