詩人:甘味亭 真朱麻呂
その昔太陽は空に昇ってはいなくて地上に岩のように君臨していた
空に昇るまえのお話
そしてその昔は一日中夜の世界で朝のこない世界で月も太陽も暗闇の中で生きていた
月と太陽はそれぞれが朝と夜とを支配する王となり永遠の居場所と決めて 今に至る
影が伸びてくように時代がいくつか過ぎて
太陽はいつしか輝きを求めて光りかたを会得する
それにより朝が訪れた
世界が誕生してはじめての夜明けが世界を照らした
太陽は朝に棲むことを訴え
暗くてひんやりした夜を好む月はすんなりその訴えを聞き入れそれから朝と夜ができひとははじめて時間の経つ感覚と暗い明るいで朝なのか夜なのかを判別することを学ぶ
そうしてお互いにそれぞれの居場所を汚さぬように侵さぬようにと話し合った
今も けっしてその約束はやぶられていない
なぜなら月は暗い夜じゃなければ目立たないし 目立ちたがり屋の太陽にしても昼間はまぶしすぎて見えない
ひとはそんな太陽をいつしか目を焼く嫌われ者とののしり見て楽しめるきれいな月をあがめて秋になると月を見て楽しむ行事を心のカレンダーにそっとしるした
遠い昔 それはもうかなり昔々の話
太陽も月も同じ地面に根を張っていた時代に王様気取るためだけに夜と朝をつくった それが後々の人びとに影響をあたえてる
まん丸顔のおだやかさ
おもえば太陽と月が夜と朝をつくらなければ今ここに朝も夜もなかったんだ
そんなふうにボクは思うんだ 空に浮かぶ月や太陽を見ると
ばかばかしいとは思うけど奥深い物語をそこに見てしまうんだ
想像がぷかり浮かぶんだ
太陽の王も月の王もどちらもいなくちゃ成り立たない世界だから
ここにあるすべての命の中にいなくてすむ人なんていない
きっと自分でもわからないくらいにとてつもない意味をもって誰もが存在しここにいる
そんな事をおしえられた気がする。