詩人:フィリップ
地下鉄の座席で
ヘッドフォンを付けると
隣のおばさんに怒られた
外した時
内部の金属が
カチャリと鳴った
ホームに座ってる
老人の背中が
世界を支えている
曲がりきった腰は
人間という存在の重さを示唆するような感じで
斜め数十度で止まっていた
階段を上るその速度で
空は僕に近付いてくる
不公平な天秤が
僕と老人をかける
人間の重みを知らない僕に傾くなんて
そんなのって、あるかよ
空の蒼さ
海の蒼さ
人間の脆さ
今にも崩れそうな精神の果てで
世界は均等を保っている
危ぶまれる空間の中で
それは
蒼という名前を持つ
帰宅して
パスタを茹でて
ラジオをつけて
風を吸い込む
今日までこうして生きてきた僕と
蒼さを増す空