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[133852] 冬の足跡〜白く儚い恋だから

詩人:甘味亭 真朱麻呂


アーモンドみたいなほろ苦い気持ちを残したまま
恋は始まりそして終わっていった
ガラスの壁のむこう雨に降られながら濡れた頬に流れる涙さえ目立たない
そのボクの悲しい姿見てるのはどこの誰ですか?
それはいつかのボクでしょう

ゆっくりゆっくり歩いてゆく 冬の日の道を冷えた風に背中ひやされながら
足跡をつける無邪気な自分に別れた君を重ねてみたり
ああ 思い出すだけで悲しい恋だったね
二人あんなにも幸せな未来 期待してたのに
どうしてかな…

コートのポッケに両手を突っ込んで冷えた手をあたためるボク
ショーウィンドウに映った気がした
あの雨の日の二人の最後のデート
冬は思い出させるよ 澄んでいるからなのか
悲しい記憶まで嫌みなくらい綺麗に どこまでも鮮やかに透き通った氷のように冷たくもやさしいぬくもりで満ちてる

だから冬はボクの手を離さない
寒くて冷たいだけが冬じゃない
わかってるけど
そんなイメージしかわかなくて
そんな思い出しか生憎なくて

心がからだ以上に悴みました いま冬の訪れと共に今年一番の冷え込みをテレビが告げたあと
雪が肩に舞った
手のひらに雪をのせれば静かに溶ける
かすかな冷たさだけを残してやがてその白さをただの水に変えて跡形もなく消える ボクと君の恋のように切ないけど味気ないさよならで終わらせたあの日のように

手のひらには残り水だけが半円状に残っただけ
願いもなく
ただ舞い降る雪を眺めその余韻に耳をすます 目をとじる

明日へと静かに歩いてゆくよ
終わりゆく冬の出口まであのコの事はまだ不思議に忘れられそうにない

コートの襟をたててまた歩き出す
ゆく宛もなくふらりかすんで見えない視界に今を映して
悲しみも見えないほうが都合がいいとかすかに笑った
悲しみ 切なさ 淋しさ 押し込むように。

2008/11/01 (Sat)
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