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詩人:どるとる
振り返ってもただおぼろげな記憶の中で僕はきっと笑っていた気がするよ
それはまるでビードロのような
はかない思い出たちが
星のように
きらめいてる
地図の片隅にある
聞いたこともないような知らない国のように 素知らぬ顔で忘れてる
季節はとうにいくつも過ぎ去って
時が過ぎ行けば幼子は 自分ひとりで歩けるようになり
かわいかった女の子も 花嫁になり妊婦にもなる
宇宙のようなどこか神秘的な僕の頭の中で造り上げられた
勝手な記憶の塔は崩れ去って
朽ちてゆく
ピアノを奏でるピアニストように
流れるように鍵盤の上を踊る指先のように
どうにか あんなふうに自由に生きれないものでしょうか
タキシードは似合わなくても喪服は似合いそうなお年を召した人もまだ若い人も
それぞれのメロディを奏でるように生きてるから正解なんかさがしてもあるわけもないけど ただひとつ正解があるとするなら 生きるということを前提とした毎日を生きる事
それだけでいいということ
ピアノの弾けないピアニストが奏でられる最後の序曲。