詩人:梅宮 蛍
鉄の匂いがする夢の中で私は途方に暮れています黒一色の場所に立ち右も左も分からずに前も後ろも分からずに辛うじて足の裏の硬い地によって上下がわかるだけなのです虫の羽音がこだましてここは狭くない場所なのだと知りますなまあたたかい臭気によって異様な光景が脳裏に浮かびますが何も見えないので何も分かりません鉄の匂いがする夢の中でそういった次第で私は途方に暮れているのです