詩人:八朔
メンソールのかおりが鼻につく惑星、の、中心で泣く子供が一人。
(…か……を……)
声は遠くか細い。聞こえない。僕はいつからここに?覚えていない。…困った。
うわ。混ざっていく。僕の頭と関係なしに体が混ざる。
(…れか……を…で…)
どうやら僕の耳が悪いらしい。そういえば目も悪い。見えない。顔がみたいのだが。誰だっけ?
「君は誰だっけ?」
叫ぶも届かず。成る程、向こうもか。これは片付くのに時間がかかる。
仕方なく近づく。…熱い。
彼は惑星か?近付くと体がやけるように熱い。
(※ノイズ)
この音はなんだ?
あ、しまった。
また混ざってしまう。
僕が薄まる。
(※ノイズのいず!)
近付くと音量が上がる。
痛い。
耳は悪くないのかもしれない。
馬鹿にうるさい。
(だ……ぼ…の…な……を……)
うるさくて聞こえない。
「君は誰!?」
苛立ってきた。
行くのをやめようか?
後ろを振り向く。
これでは戻るほうが大変だ。
歩く。
仕方なく歩く。
耳から血が流れた。
それでも僕は彼に会わなくちゃ。
原因はわからないけど、
目的と方法は感じるから。
(だ…かぼ…な…を…よ…で………い!)
ああ、知ってる顔だ。
久しぶり。
(誰か僕の名前を呼んでください!)
名前がわからないのか。
じゃあ僕も君のことがわからないよ。
ごめん。
触る。
触ることが救いになるだろう。
ごめんよ。
ひんやりとした感触。
なんだいこれは。
君は人じゃないのか。
いやこれは。
「誰か僕の名前を呼んで下さい!」
(誰か僕の名前を呼んで下さい!)
ノイズはやむ。
声はこだまする。
一人しか住まぬ惑星。
「こんにちは」
(さようなら)