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[126888] インドの夜は暑い

詩人:フィリップ

ジプシーが
ニューデリー駅のホームで手を差し出してきた
通じる言葉などなくても
僕にはそれが何を意味するのかわかった
溢れる情報社会で
様々な言葉を
覚えなければならない世界だというのに


この国の人たちの手は美しい
空にすら
彼らの指はとうに届いている
差し出すことしか出来ないが
僕たちの指より
遥かに真っ直ぐ伸びきっている


二等列車は危ないからと
青年が声をかけてきた
時刻は既に遅く
あたりは暗闇
世界が寝付く瞬間だというのに
彼らは眠らない
あらゆる手段で
必死に今日を生き抜くために
眠らないのだ

暑さが増してくる
しかし夜は更けていく
地平線のような長さを帯びた夜は
何も感じない程
静寂に浸っている

2008/05/30 (Fri)
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