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詩人:甘味亭 真朱麻呂
ため息で部屋中 霧の朝みたいに真っ白け
たばこの煙みたいにせつなさが充満して
「もうなにもかもがいやになった…」
その言い訳だけは自分でも大賛成 ゆるせるよ
世界中の鬱憤やいら立ちを一カ所に集めたみたいな思いで僕は
いつも世の中の理不尽さやこの命の意味やいろんなわからない事でもうこんがらがって
それでも毎日は逃げても逃げても僕についてきていつの間にか気づけば僕はつかまってお縄だよ
今日もまた
答など堂々めぐりでまた問いかけたって同じ答が送り返されてきて
そんなふうに何度も問いかけてみたけど答だけが積み重なって
ほらいつの間にかこんなにも何かのタワーみたいに高く重く胸の奥のしかかってる
性懲りもなくまたひとつ今日も積まれていく
その分僕はその重さを感じて体重計になったみたいにあえぐように苦しんだ
言葉にしても文句言ってもはじまらないとただただ嫌いな奴らの言葉をこっちからあっちへ受け流して
聞きたくもない戯れ言を聞いてるフリで内心 その通りにしようとも思わない
だって 僕は僕だから
頑張ったって僕をつかさどるとこは変えられるわけない
世の中の何かが僕を変えてるんじゃない
根本からもうおかしいんだ
そんなふうに目もくらむほどの車のゆがんだライトが窓に映っただけで吐き気がしたと大げさに逃げてみせる
そしてすべてはやがて懐かしい香りのコロンが部屋を包むように
あの日と同じ気持ちで今夜もまたつぶやくだろう
ああ
「もうなにもかもが…」
それでも世の中からは逃げられない
いやになったからといって死ねもできない
明日への恐怖と不安でいっぱいの声がふるえてる
あいてる化け物の口の中へ飛び込むような気持ちだよ
僕は 明日にむかうにあたって
世の中に無許可の存在1人
憂うつに囲まれて日々の余罪を償うように冷え冷えした風に殴られ続ける 俺1人。