詩人:どるとる
今日もこの世界のどこかで 第一楽章のようなはじまりの産声が高らかに奏でられる
そして今日もどこかで誰かの命が最終楽章の慎ましやかなメロディにしずかに見送られる
僕は何度でもスタート地点に戻って 繰り返すのさ 同じように今日と呼べる明日ともいうべきはじまりの地で きのうのように泣いて笑って くだらないことで苛立ってわがままも言うだろうけど 生きているというメロディは鳴り続ける 少しの乱れもなく 僕の心臓はメロディをきざむよ
花のように 可憐に
水のように しなやかに
風のように 涼やかに
天使のように おだやかに
稲穂のように 凛として
半数もきらぬ人生を
僕は生きていくのです
僕という楽器を不器用に奏でながら
帳尻合わせに疲れたらたまには怒ってみたりもするのはしかたないけど なるべくやさしく穏やかに
生きていこうと思います
はじまりの地で
再び 僕は空を仰ぎ
思う 風の立つ午後に
日陰の中 目をつむる。