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[47980] 二次元ポケット

詩人:高級スプーン

平面の奥を
覗き込めば
やたらと粘る
街があった
散策していると
出会ったのは
白い箱を持った
黒装束の集団
通りの端から
僕は見ていた
悲しい気配を漂わせ
過ぎていく一行
その中の数人が
立ち止まり
離れていく列を
よそに僕を見た
怖かった
でもなんだか
興味が湧いた
その数人の元に
おそるおそる近付いた
彼らは全く
動かなかった
一つだけ
分かったのは
彼らが見ていたのは
僕じゃなくて
僕の立っていた
場所だった
さわってみても
蹴ってみても
何をしても
動かなかった
興味を無くした僕は
お腹も空いたし
そろそろ元の場所に
帰る事にした
変だな
帰れない
何か重たい
知らぬ間に僕は
白い箱を持っていて
黒い装束を着ていた
その僕が
こちらを見ていた
先程の彼等は
消えていて
僕の立っていた
場所の先にある
いま僕の
立っている場所を
僕は見ていた
帰ってきたのは
僕の方なのに
取り残された
気がするのは
何故だろう
画面の向こうに
立っていた僕は
踵を返して
僕の前から
姿を消した
僕を置いて
何処に行ったんだろう
悲しい気配だけ
消えずに残った
僕が僕を忘れて
眠るまで

2005/09/10 (Sat)
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