|
詩人:甘味亭 真朱麻呂
変わらないもの
変わってしまうもの
時間が変えるもの
自分が変えるべきもの
それらに苦しめられたり泣かせられたり
さんざんな日々が僕をほら今日も拐かす
後ろの席のイタズラ好きな男子生徒がちょっかい出してくるみたいに
それはとてもうざったくて
たまにそのちょっかいがなんだか変に恋しくなって
春が待ち遠しくて
寒さにふるえながら
コートの襟を立てる僕は雪にうもれて
冬になけばあたたかい春を
夏になれば寒い冬を待ち遠しく思って
早く来ないかなと言いながらも
待っていた季節に鳴ったらなったで暑いだの寒いだの文句をならべるんだ
飽きてもしょぼくれても繰り返される日々は
正しい時刻をいつも指し示す時間とともにやがて僕をどこか遠くの空の彼方にある国に連れてゆく
何かを今日も不安がって
何かに今日もおびえてる
楽しい事などあれからひとつもないな
いつの今日もいつかの今日も変わらず
ひとりだけでまわる生活が僕を生かしまるでレコードみたいにいつまでも時代に馴染めないアナログ人間の僕はいつの今日にもきらわれて
流れゆく時間の外側で夢の中さまよってる
外野を守るべき人なのに他人にまかせてただ突っ立って見てる人みたいにサボるだけですぎてく毎日
自分を責めることもできず
誰も呆れて責めないから
ずっとゆるされてばかりの甘っちょろい生クリームの中
ただ時間に混ぜられながら
自分という人間の完成の時を待ってる
いつか楽になれる日を待っているんだ
いつかの今日もいつの昔も
どのような明日もただの日でも
僕はただかかしみたいに突っ立って他人の頑張る様を羨ましく思うこともなく見ているんだ
いつもいつも
死という終わりが僕の心臓の活動を停止させるまで
飽きることなく見ているんだ
退屈と憂うつと虚無のえんがわで。