詩人:甘味亭 真朱麻呂
色鉛筆のどの色の一本でも欠けたら僕はここにはいない
色鉛筆の中のほんの一本にすぎない僕でも自分の色をちゃんと出せている
だから
色鉛筆はたかが色鉛筆でしかないけれど
色鉛筆は色鉛筆なりにそれぞれがそれぞれに特異な色や形をもってるからなにも恥じることはないのさ
そんな色鉛筆のケースにちゃんとおさまらない色鉛筆もあるから
常識ばかりこだわっていちゃなにも解決にはいたらない
だからちゃんと
その色その色ごとになにがその色を色あせさせ削っているのかをきちんと考える必要がある
それがやっぱり大事なことだよ
似た鉛筆も変わった鉛筆もかっこいい鉛筆もすべてこの地球の中の小さなひな鳥のような子供たち
だからはみ出してたって人より違う姿形だって色鉛筆は色鉛筆でしかない
孤独な色を持つ色鉛筆も
やさしい色を持つ色鉛筆も
燃えるようにはげしい色を持つ色鉛筆も
すべてその色鉛筆が色鉛筆でいるために存在する意味のある一本なんだよ
だから その一本はこの世にひとつ
その一本が欠けたらもうその色はケースには入らない
新しい命を持つ色鉛筆が生まれてもそれは似てるだけの違う色
少しの違いがその色鉛筆をより輝かせ目立たせる なにもおかしな色などない
だからリスクを抱えて生まれてきた色鉛筆もほかの色鉛筆となにも変わらない
色鉛筆としての意味を凌駕するために生まれたたったひとつの色なんだな
だからこそ生まれた色鉛筆
それは生き抜いて最後まで生ききる意味がある
欠けることを望むなら生まれたことをもう一度考えてみるんだ
それがあなたの明日にまた新しい色を足すはずだから
あなたがあなたしかもたない色を見つけたら
それだけで明日を生きてこれからを生き抜く意味になる
そうは思わないかい?
色鉛筆くん?