詩人:タキシード詩者
打ちのめされた昔の恋が忘れられない。
それはきっと私が悪かったんだっていうのは自覚していた。
私は高校の時に恋い焦がれた人を未だに想い続けている。
好きの一言どころか、話し掛けることすら出来なかった片想い。
それを諦め切れないでいる。
その片想いを引きずったまま、何年か過ごしたある日、私を好きだという変り者に出会った。
私はその人だけでなく、誰を恋愛対象とも出来ない。
だって、心はあの人に捧げたままだから。
なのに、あの時私の中の悪魔が囁いた。
「どうせあの人は手に入らないんだから、こいつで寂しさ紛らわしなよ」
私には天使の言葉が届かなくて、悪魔の言う通りにしたのだ。
でも付き合い時を重ね結局思い知らされるのだ。
“私の求める温もりは彼じゃない”
きっと私は、あの人が自分の手を引いてくれさえすれば、彼を置いて地獄にだって私は行ってしまうだろう。
優しくなれない私。
彼は私の心が見えないままであることでプライドを砕かれた。
別れの時、私は自分のしたことすべてに愕然とする。私は彼を傷つけることしか出来なかった??
自分が付けた彼の傷は、癒しても癒しきれない深さの物。
何もかもごめんなさい…