詩人:夢野咲道
もしも・・・
悲しい想い出の上から楽しい想い出だけを上書き保存出来るなら
悪い夢の上から幸せな夢だけを選んで上書き保存出来るなら
切ない気持ちの上からトキメク気持ちだけを上書き保存出来るなら
後悔だらけの人生の上から理想の人生を上書き保存出来るなら
そう思う事は有るけど
もしも、そんな人生だったなら
喜びも幸せも感じる事は出来ないだろう
充たされないモノが有るから
得る喜びを知る事が出来る
悲しみを知る事で解る喜びも有る
それに
上書き保存で書き換えたところで
自分の気持ちまではどうせ書き換えられない
後悔しても、やり直せば良いだけの事
間違っても、繰り返さなければ良いのだ
いや、よしんば
間違いを繰り返したとしても
上書き保存された味気無い無味乾燥な1編のファイルよりは
多種雑多なファイルが多い方が
人生も深みが有ると言うものだろう
ひとつひとつ
記憶の中に名前を付けて保存をしておくのも
まんざら悪くは無い