詩人:望月 ゆき
ぴんと張った背中を
つむじ風が
らせん状に、なでて
どうしてか
しのび足でわたってゆく
ので
今いる場所がほんとうは
うすい
一枚の氷の上なのだと
冬が深まるごとに、気づく
吸収された世界
きこえてくるのは
静けさの、音
無からいちばん遠い、
音
( 3オクターブの、振動で )
氷は、やがて
沈んでゆく
沈んでゆく
わたしの足元
奥深いところ、へ
( 24色の、音を放って )
そうして、そこに残るもの
ひらかれた朝の光、
つたわる温度、
願いごと、
足あと、
足あとに、咲く
クレパスの
虹
2005/02/06 (Sun)