詩人:さみだれ
彼女は冬のころ
母の優しさになる
それは温かくて
甘ったるい時間
みかんな彼女は
窓を拭くのが好きで
僕が帰ると
いつもカーテンが閉じているけど
たまに星空を見に
カーテンを開けると
まるで外にいるような
そんな錯覚
思えば彼女は
僕に色んなものをくれたけど
僕ってやつはそんな彼女に
何にもあげてない
庭の花を大事そうに
触れている後ろ姿
鏡の前でにこにこ笑って
振り向いたときの目
ときに僕は
彼女の存在というものを
どれほども理解していなくて
たまの休みに
彼女を目で追うことでしか
彼女を知ることができなくて
思えば彼女は
泣いている顔なんて
僕に見せたことがなくて
たまには思いっきり
泣かせてやろうと
僕は腕を開いた