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詩人:甘味亭 真朱麻呂
横断歩道は右を見て左を見てよく確認したあとで手を挙げわたるでしょ
それと同じように人生の横断歩道もよく考えてわたらなくちゃだめさ
大丈夫だろうって考えは事故や災難を招くもと
自分の首を自分で絞めているようなもんだ
自分から災難や災厄を呼んでいるようなものだ
だから人生のひとつひとつの分岐点をわたるときなどは慎重かつ冷静にわたりましょう
人に猫なで声ですり寄るのもまたひとつの手だて
横断歩道で手を挙げるようなもんだ
イヤでも面倒でもあとでつけが回るよりはずっとあとあとのこと考えて媚び売ったほうが利口でしょ
でも忘れないで
自分というものの存在のプライドやらなんやら
自分という一人の特別をまるで他人の踏み台や召使いにはしないで 世の中に半身捧げてももう半分は自分のために使ってしっかり自分というものをもちなさい!
よそ見していたら行き交う人にぶつかるよ
おでことおでこ
アイタタタタ…
泣きたくなるな
すりむいた膝小僧は僕が泣くまえからずっと泣いていたんだね 涙がさびて赤くなるくらいに僕のためにこんなに無理してくれていた
みんなこの人ごみあふれた横断歩道
うざい目障りな標識ばっかの世界だから
この世は規則とルールの交通規制にのっとった瓶詰めの窓もない息苦しい密室
いつか支配されやがて統一され今の正しさが本当と誰かが定めた、僕には難しすぎる
白と黒に色分けされた横断歩道に信号がピカピカ光る
青なら進め
黄色なら注意せよ
赤は止まれ
そんな当然をもし破ってしまったら その報いは僕自身にふりかかる
破りたいんだ それでも危険をおかしてまでも
僕はスリルに飛び込みたい
なぜかそれほどの危険おかさなくちゃいつまでも世の中の居候のままさ
信号がやがて青に変わったら僕も歩き出す人たちと共に横断歩道をわたる
悲しくてもそれが正しき運命です。