詩人:甘味亭 真朱麻呂
あるひとつの理論
正しさの形 自然なままのその姿
それを鼻で笑った僕一人
それを遮り叱り飛ばした君
いつも常識ばかり
優先されて 座れない電車みたいだ
吊革さえ届かない
そもそも入る隙がない
満員電車 満員御礼 いやな言葉だ
吐き気がするよ
でも 本来 それは素晴らしくステキな思い 常識という名のピタゴラス、ひとつとしてあわないパズルはない
だけどあまりに美しすぎて僕には一生永遠になじめそうにない
それを守っていればみんなから認められる
でもそれは同時に自分という一人の肉体を切り裂くほどの痛みをもたらす
僕らははたして他人から親から笑顔を欲し求めるために
それがいくら世の中で通用しなくても僕は僕のまま 誰かが決めなさった線をなぞらず大きく線からはみ出してだんだんそれていきたい
もともとこの世自体がわけのわからない空理空論でできた世界
神の鼻息でかろうじて浮かぶ浮島です
それを守らないことはつまり世の中を敵に回したと同じ事だから僕はみんなから冷たい視線を向けられ群を離れた一匹狼
もう仲間でもなんでもない関係
吠えても吠え返されない
そんな事さえ…
龍神太鼓が鳴っている ドドンがドン…
竜巻を起こしながら 気持ち揺らめく
北北西に見えるは僕がいつか求めた光
孤独になるのはこわくない それどころかそっちのほうが楽だ
それほど肝が据わっているわけじゃないけど自分を曲げても他人のもつ常識や言い放たれた極刑に涙なんかしたくない 笑ってやりたい
広がる想像には限りなんかない 終わらない旅はまだまだ続くよ
だから お陀仏さ
つかの間見えた旅の終わり目的地、走り抜けたってそこには僕が求めるものはなく
蜃気楼が踊ってただけだった
ああ また、空振り
でも泣かない
目的地のない地図に今新しく描かれる道 切り開かれるダンジョン 現れた抜け道が。