詩人:高級スプーン似
自分自身の
身体の一部を
嫌ったって
ね
形を変えたり
取り除ける部分であれば
いくらでも
なんでもするけれど
こればっかりは
どうにもならない
メスの入る余地の
ない箇所にある
それ
まともに見ることも
目をそらすこともできず
曖昧な視線
送り続けてる
生まれてから
今までの間に何度
いやな気分になったろう
数えきれない
数えたくもないくらい
大嫌いだ
大嫌いだった
それだけなら悪かった
けれど
それだけじゃなかった
から
なんだか
どうでもよくなかった
右の目も
おかしいんだってさ
笑うしかないけれど
本当は
誰にも
笑われたくはなかった
なにも
見ていなかった
なんにも
見えていなかった
いまも
素直になって
向き合えずにいる
それでも離せない
胸から手
瞑ると見える
こころの目
露知らず
うつつに夢見て
奪われる
目とこころ