詩人:甘味亭 真朱麻呂
この町に生まれてよかった 当然のように思う
この町で育てられてよかった ふと気づいたみたいに瞬間うれしくなる
あたたかい町だからあたたかい人になる
冷たい町ならばきっと冷たい人になる
でも運良く僕はあたたかい町のあたたかい住人
今だから言えるそんな恥ずかしいこと
今でこそ思えるそんなあたりまえみたいな感謝の言葉
それに近い
後悔という言葉があるなら後で喜ぶから後喜(こうき)という言葉と後で気づくという意味の後気(こうき)のふたつを感謝の言葉にするよ
ありがとう
ありがとう 僕の町
ありがとう
ありがとう 僕の町
そしていつかはだめなこと言ってごめんなさい
言い過ぎたなあ あれはちょっとあまりにも 今だから笑えるんだけど…笑えないか ごめんなさい
でもいつまでも懐かしい思い出封じ込められた町だから大好きな町
帰る場所はここだけ
帰れる場所はここだけ
帰っていい場所も迎え入れてくれる場所もこの町 ひとつだけ
あのバス停 懐かしい
あの駄菓子屋 今もやってるのかなあ
あの学校の校庭 また行きたいなあ
僕の町にはたくさんの懐かしいにおいがする場所があるから
ひとたび帰るなり僕は思うんだ 何よりも優先して
そうしていつの間にか町に灯がともる
高いとこから見たら一面の星空みたいだ
こんな景色ははじめて
長年住んでた僕でもはじめて
気づいてたようで気づかない 気づいていなかった事もまだこの町にはあるらしい
今日来てみてわかった
だからまだこの町にあと2、3日ばかり残るよ
お母さん お父さん それまで昔みたいに久々に夕飯を囲もう
この町は一冊のアルバムだから
目をひらけばこんなに懐かしいポラロイドがよみがえるんだ
また新しい見たことない景色 増やしたいから僕をもう一度迎え入れて ふるさとの町よ