詩人:甘味亭 真朱麻呂
夕暮れはさよなら
終わりの匂い
夜明けはおはよう
始まりの匂い
今日のさよならが明日のさよならと重なって新しい始まりの匂いをつくる
そして また
明日のさよならが明後日のさよならと重なって新しい始まりの匂いをつくる
始まりの匂いはさよならの匂いからつくられる
さよならがなければ始まりはないから
さよならがあればそれはまた新たな始まりなんだ
夜が終わり静かに明ければ日は昇りまた新しい1日が始まるように朝がそこにつくられる
それのように今日が明日を明後日がしあさってをというように次の日がまた次の日をつくってゆく
だから今日を生きないと明日はつくられない
その人の目には映らない
だから明日を知るために人は生きてその先の未知の美しさに感動しまた明後日を生きたいと思う
だからうれしいことや楽しいことは悲しいことから生まれるんだ
そして 逆に
悲しいことからうれしいことや楽しいことが生まれてゆく
それが互いに繰り返されていきやがてひとつの終わりにたどり着いた
人生の終わり 落着
それもまたひとつの終わりでもありまた始まりかもしれない
新しい第二章の夜明けなのかもしれない
人生の終わり 落着
それはただ第一章が終わったに過ぎないことで全てが終わったというのは人間の思いこみでまた何か新しい物語がそこから始まるかもしれない
だから全て終わったと決めつけるのは悲しいんだ
だから人は絶え間なくきっと永遠に夕暮れを追いかけ 夜明けを探してゆく
その先にまばゆい光があることを想いながら
気持ちを先へ先へとばしてゆく
いつかおとずれるエンドにそなえながら
でも今は今で生きてるうちを大切に生きて
やがてもうすぐ終わりだと気がつくまで僕は死という運命を遠ざけて考える
まるでないもののように 今はまだジャマな思いだから。