詩人:トケルネコ
遅い午後に起きて 弟の食べ残しをつまんで
ココアをいれて 猫を撫でて うるさいテレビをつけたら
震える窓 外はもう夜でした
だからもう……
あたし、意味もなく生きるのはいやなの
あたし、夢に溺れて死んでみたいの
ウソは口から溢れてるのに 少ししか泪は零してないのに
テレビのあの子はいつだってヒドく輝いてる
投げだした足にふれる猫のシッポ 居間は午後の静寂あふれて
誰もいない空間 きっとワタシもいない
恋人に会うの? 猫はお外へ
だからもう…
あたし、いつか生まれかわるの
そしてきっとテレビにでるの
今時の衣裳着て 今時のレストランに入って
お洒落な友人と 恋と仕事について熱く語って
これ見よがしにクサい台詞を吐いてもいい
そして笑ってやるの 飛び降りて脚だけ傷めたあたしなんて
泪がでるほど笑ってやるわ
だからもう
朝は来ないで
夜の深い霧を晴らさないで
あたし、あの子のようにはまだ綺麗に泣けてないから
まだ震える窓の景色には踏み出せないから……
ふくらはぎに猫のシッポ
おかえり、夕ご飯何にしよっか?…