詩人:感動マニア。
うだるような空気を避けて
後ろ手でドアを閉じる
お前は猫を見ていた
前に立つ私に見向きもせず
猫はテレビに跳び乗り
壁を引っ掻き
カレンダーを破った
部屋の空気はひんやりとしている
お前は猫を見ていた
鏡の様に何も言わず
猫はテーブルに跳び乗り
グラスを倒し
皿を割った
窓の日射しにお前の影が伸びる
お前は猫を見ていた
氷の様に身動きもせず
私は猫を叱った
猫は一声叫び
私の手を引っ掻いた
猫はすぐに私から離れた
お前は微かに笑みを浮かべた
私の方を見向きもせずに
(2002.5/30)
2007/08/19 (Sun)