詩人:ユズル
それは いつも
カラフルなくだものが 生クリームに包まれた
大きくて 華やかな ホールケーキの
スプーンひとすくい 苺にも届かないくらいの分しか
伝えられない もどかしいもの
それは そのくせ ほんの少しで
しんと冷えた 薄暗い トンネルを
ひとり歩く 冷たく恐ろしい足音になったり
暖房の効かない 冬の教室の 窓際で
眠りに誘う 暖かい陽射しになったり
なにより強くて きみのすべてみたいなもの
わたしたちは それを使う 生き物だから
きっと 優しい 生き物だから
もっともっと 大切にして
それを それを使う わたしたちを